台北の自転車海苔

海外生活は上海に4年、シンガポール2年、そして台湾はだいたい3年近く居て2021年3月に帰国しました。

日本人の中国語

 先日、或るほだし(浮世の義理)があってモスバーガーに行ったのですが、二階の席に座っていたらあるカップルの話が耳に入ってきました。といっても男性の方がほぼ一方的に話していて女性は相槌を打っているだけでした。この男性の方が若い日本人なのですが、まあ日本人だと直ぐにわかるのです。もちろん見かけからではなくその話している中国語からわかるのです。でも彼の中国語はとても流暢でかなりのスピードで淀みなく話しているのですが、日本人だとわかるのです。不思議なことに。中国にいたときはこういう日本人はあまり出会わなかったのですが、台湾ではかなり多いです。中国語はかなり流暢なのに発音で日本人とすぐわかる。

 台湾ではなぜこういう日本人が多いのでしょうか。発音の勉強は面白くないので初心者からそんなに厳密に発音の練習をやると学習意欲を失ってしまうのであまり強くお勧めはできませんが、中国語の能力が上がるにつれて発音の方も順次見直ししていくのが良いでしょうね。話せるのに発音が滅茶苦茶というのは日本にいる外タレのようにそれを売りにしている場合はともかく、フツーはその言語に対して敬意を払っていないように思われるので気を付けた方が良いでしょう。

 ところで、そもそも日本人とわかるのはなぜか。言い換えると日本人の発音の特徴とはなにかというのを考えしまいました。

 ウムラウトができない。「e」ができなくて例えば歌を「ガー」と発音する。声門閉鎖がない。有気音・無気音の区別ができない。

 いろいろあるのですが、やはり一番の特徴は発音が平板なことでしょうね。これは四声がないという意味ではありません。中国語は四声がないと通じないのでこれはあり得ません。発音が平らというのは口先だけで発音しているということです。要するに腹話術士のように唇をあまり動かさずに話しているということです。中国語の場合はけっこう口を開けて発音しますよね。「i」の音は口角をかなり広げます。「u」の音も唇を突き出します。それに更には二重母音の場合それぞれの口の形をします。

 例えば「春」の字はピンインではchunですが、chuenを省略したモノです。つまり「u」の音で唇を突き出し「e」の音で突き出した唇を引いて発音します。わざわざ「ちゅぇん」と発音することはなくこの唇の形で「ちゅん」と発音したら正しく「chu(e)n」の発音ができると学校で日本人の先生に習いました。ところが日本人的発音をして唇を動かさないと「ちゅん」という平板な発音になります。舌を巻か(立て)なければ「つん」です。

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 范曉萱 (Mavis Fan) の健康歌が流行った時に日本人中国語学習者の間でこの「脖子扭扭 屁股扭扭」が「ボズニョニョ ピグニョニョ」に聞こえると話題になったことがありました。ピンインではniuなので「ニュニュ」と聞こえるべきだというのです。これももちろんniouの省略なので速く発音すると最後のuが聞こえなくなり「ニョニョ」に聞こえるのですが、ピンイン学習の弊害とも言える日本人的発音なら「ニウニウ」→「ニュニュ」になってしまうのです。ちなみに注音は二重母音も省略がないのでこの弊害はないようです。知らんけど。

 同様にというかこれは聞こえ方が違いますが、「對」もそうです。これは速い相槌だと「トイトイトイトイ」に聞こえます。しかし、「いやまさにその通り」という具合に相槌を打つ時にちゃんとゆっくり発音すると「どぅうぇい」となります。唇は「u」の形から「e」を経由して「i」の形で終わります。この「どぅうぇい」は発音するとけっこう気持ち良くて個人的に好きなのです。どうでもイイことですけど。

 ということで、発音については中国語の能力に応じて順次矯正していくことをお勧めします。というか私はそのように気を付けています。例えば日本語を話す外国人がその少ない語彙の中で知っている日本語の単語を完璧に発音してくれたとしたら、嬉しいものでしょう。自分の国の言語に対して敬意を払ってくれていると嬉しく感じると思います。

 

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