オートロック
私の住んでいたマンションには管理人が居ません。なので不便なのは通販の受け取りと、もうひとつが致命的なのはエレベータに乗るのにカードキーが必要なところです。正確に言うとカードキーを持たずにエレベータで下に降りてしまった場合二度と自分の階に戻れないところです。各階に一戸ずつしかないので独り暮らしだと幾ら待っても家には入れません。家の玄関の鍵が開いていても自分の階に行けないのです。
でも、仁愛路から一本入ったところの閑静な場所と部屋数の多さがとても気に入っていました。
一度失敗して下に降りてしまい、大家さんに電話したら3階の家族が分譲で非常階段の鍵を預かっているとのことで唯一誰でも上がれる屋上にエレベータで上がり、非常階段を降りて私の住む5階の鍵を開けてもらいました。以後は大きな選択として、セキュリティを犠牲にして非常階段のドアを常時開けておくかカードキーをどこか外に隠しておくかの二者択一で後者を選び、郵便受けの手が届くところにテープで貼り付けておきました。
まあその後は締め出されることもなく過ごして翌朝の退去を控えて前の晩遅くに剥がしたのでした。そして夜中に片付けも掃除も終えて最後のゴミ出しに地下のゴミ置き場に降りて、さあ部屋に帰って寝ようと思いエレベータに乗ってから気がつきました。
鍵を持たずに降りてしまったと。
色々と考えたり試したりしてみましたがやはりどうやっても部屋に帰ることは無理なのです。夜中の12時を過ぎていますが、3階を叩き起こすしかないので呼鈴を押してみましたが誰も出ません。ティシャツ短パンで降りたので財布もなければスマホもありません。マンションの廊下で寝て翌朝に3階の台湾人に会うしか方法はないのです。
それか、ベランダから入るか。
ということも考えました。5階なので下から上るか屋上から降りるかといえば、屋上からの方が近い。一度上ってみましたが、ムリムリムリムリ。
隣のビルが少し低いので隣の屋上に飛び移りそこからうちのベランダに?
色々見て、真上からは無理だけど屋上のエレベータホールの窓から屋根というか庇を伝って6階のベランダには降りれそう。果たしてなんとかそこまでは行けました。普段から懸垂やってて良かった。(因みに6階は先月引っ越して行ったので空き家です。)
6Fエレベーターホールの窓です。
この庇の上を歩いて屋根の下のベランダに降ります。
下を見ると怯みますので見てはいけません。
次は真下の階のベランダに降りるワケですが、ベランダが日本とは違って胸から下の高さの部分がガラスで覆ってあるので柵を掴めないのです。掴むところがないのです。柵を両手で掴むことさえできれば極簡単に下に降りられます。懸垂十回してからだって降りられます。
このベランダが自分のウチです。
けっこう悩みましたが、これもまた真下に降りるのではなく庇の方から斜めに下のベランダに降りるのなら掴むところがなくてもボルダリングのように指先を引っかけるだけで体を支えてられそうだと思い、やってみました。中正運動中心の懸垂マシンはボルダリング用のホールド(突起物)もあるのです。たまにトレーニングしていて良かった。
けっこうな冒険でしたが何とか落下せずに自宅のベランダに侵入成功しました。問題はベランダのドアに鍵をかけたかどうかでしたが、幸いかけていなかったため何とか家の中に入ることができました。ここに住む最後の日にこんなことをするとは思いませんでした。までも、廊下ではなくベッドで寝られて良かった。
裏のマンションにも通報されなかったのは幸いでした。自分のマンションの防犯カメラにはしっかり写っているでしょうから観られたら怒られるでしょうが、もう退去してるから大丈夫。
写真はほとんど翌朝に撮りましたので明るいですが、実際は暗い中行動しました。
このドアを施錠していなくて良かった。